副工場長のオフィス

ちなみに私は副工場長ではありません。

映画「セッション9」

ブラッド・アンダーソン監督、2001年制作のサスペンス・ホラー。廃墟と化した精神病院のアスベスト除去を引き受けた5人の男たちが遭遇する、病院の黒い過去と狂気を描いた作品。

 

娘が生まれたばかりのアスベスト除去業者のゴードンは仕事が欲しかった。そんな中、病院内のアスベスト除去の依頼が入り、二つ返事で引き受ける。それも1週間という短い期限で。

依頼を受けた現場は、1871年に建てられ2000人以上の患者を収容していたダンバース州立精神病院。廃墟と化した広い病棟のアスベストを全て取り除く大掛かりな作業である。

 

効率を上げるために作業人数を増やし、男5人で仕事に取りかかる。

病棟内はひどく荒れており、かつて使用されていたと思われる医療器具が散乱し、壁にはスプレーの落書きがいたるところにある。

作業を進めていく中で、ロボトミー手術の器具や水治療法など当時最先端とされていた治療の痕跡を数多く見つける。また入院患者の生活の痕跡も残されており、この病院の長い歴史と患者たちの苦痛や狂気に触れていく。

 

アスベストの舞う廃墟での作業、迫り来るタイムリミット、次第に足並みが揃わなくなり仲違いする男たち。日を追うごとに、じわじわと彼らの様子がおかしくなっていく。

 

 

初めてこの映画を観たのは高校生の時。人それぞれ恐怖のツボは異なるが、僕はわりとストライクだった。ダンバース州立精神病院は実在の廃墟で、ありのままの姿が映画に収められている。作り物ではない本物の歴史と、そこでの患者たちの苦悩が伝わってくるような気がして何度も戦慄する。またサウンドトラックが非常に奇怪で、ストーリーと映像の不気味さを一層際立たせている。

 

この映画はぜひ1人で見ていただきたい。

そしてストーリーの展開よりも映画全体の空気感、サウンド、実在の精神病院の歴史を感じ取りながら観ると十二分に楽しめるだろう。

1人で観ると怖いが、複数人で観るとストーリーの謎解きに専念してしまうので。