都市の溝
東京駅近辺は僕の散歩テリトリーの一部です。
立ち並ぶオフィスビル、疲弊しきった駅構内、ライトアップされた消費者金融の看板。
そのような現代社会の情景を見つけに町へと繰り出します。
今回は「溝」に焦点を絞ってみました。
表向きの煌びやかさや、ハツラツ感とは対極にある、グッタリ感や喫煙所感、事務的で空虚な気配が漂う都市の溝を探す癖が僕にはあります。
路地裏のような余白のスペースに存在することもあれば、工事中に一時的に現れる空間もあります。
空き地のようにもともと何かがあった痕跡を残す抜け殻的スペースではなく、「溝」として作られた空間であることが大事なのです。
空き地は空き地で好きですが。
工事や建設現場の溝は別ですが、ビルの隙間などに存在する溝は古いものが多く、雨風に長年さらされた質感をしています。
その場所に長く残っているということは、役割の有る無しに関わらず必然的な存在である証拠です。
そのような都市風景の中の微妙なバランス関係が垣間見える瞬間がおそらく好きなのでしょう。