橋脚
男児には「電車期」というものが存在します。全員ではないのですが、電車やSL、新幹線などの鉄道に夢中になる時期を多くの男児は経験します。(電車期は勝手に作った造語です。)
御多分に洩れず僕も3歳頃から「電車期」が始まりました。
鉄道の路線の名前を覚えてみたり、鉄道の写真がたくさん載っている絵本を読み聞かせてもらったり、新幹線に出くわすとテンションMAXで騒ぐといった期間がありました。
思うに、いわゆる鉄ちゃんはその「電車期」が終わらなかった人なのでしょう。
僕は自分の「電車期」の終わりをよく覚えています。
それまで新幹線を追いかけ回していたはずなのに、気付くと僕は新幹線が通る鉄橋になぜか大興奮していました。
数メートル上空にそびえる鉄のアーチを見かけては、一緒にいた父親に大声で報告していた記憶があります。
造形美を感じ取っていたのではなく、その重厚な質量にときめいていたような気がします。
それまで騒いでいた新幹線がすっぽり通ってしまうほどの圧倒的なデカさ。しかもそれが空中に渡されているのです。
思い返すと、僕のインフラ構造物好きはなかなか年季が入っています。
当時の友達に鉄橋の魅力をアピールしても彼らには全く響きませんでした。
まぁそれは今も変わらないのですが。
今でも鉄橋は好きですが、特に橋脚に目が行ってしまいます。橋脚とは鉄橋や高速道路を支える柱の部分です。
都市風景の中には謎の巨大人工物がいくつも隠れています。普段はそれぞれが都市の機能を担っていることで日常風景に溶け込んでしまっていますが、機能を奪ってしまえばたちまちそれらは巨大でシュールなオブジェに見えてくるはずです。
僕の橋脚コレクションの一部です。
ぜひ、その上に乗っている線路や道路がない状態を想像してご覧ください。
新幹線の線路を支える橋脚。
コンクリート製でかなり古く、雨ざらしの跡が年月を物語っています。
高速道路の橋脚。
線路も道路もこのT字の形が一般的なようです。
最近はこのようなY字のものもたまに見かけます。
T字のものと比べるとこちらの方が何となく軽やかな印象を受けますが、僕はT字の重そうな感じの方がグッときます。
高速道路や高架橋の建設現場でははじめに橋脚の建設から行うので、橋脚だけが遠くまでズラリと建ち並んでいるシュールな光景が見られます。それこそ「機能を奪われた状態」であり、なかなか非日常的で壮観な景色です。
以前、新木場の方でその景色に遭遇したのですが、パソコンのどこにその時の写真を保存したかわからなくなってしまいました。悔しい。